岡山市中区江崎の岡山脳神経内科クリニック|脳神経内科・内科

〒702-8005
岡山県岡山市中区江崎104番地-16

MENU

幸福の木(ドラセナ)

2月上旬のある朝、クリニックに入ると、何とも不思議な甘い香りで満たされていました。沈丁花ほどの鮮烈な芳香ではありません。ロウバイ、それともスイセン?誰かが切り花を飾っているのかなあ?でも見当たらないなあ。あとでわかったのは幸福の木の開花。開院の時にいただいた木です。幸福の木はしばしば見かけますが、花を見たのは初めてです。調べると、数年~十数年に一度の開花だそうで、結構珍しいようです。

幸福の木の開花は縁起が良いとされています。めったに咲かないからでしょう。60~120年に一度咲く笹の開花は不吉の前兆とされます。花言葉は「ささやかな幸せ」なのに。原因は、実った笹の実を食べてネズミが増え、コメを食べ尽くすからとか。現代なら大丈夫かも。小学生時代にいたるところで笹が咲いているのを体験したが、笹が枯れただけで、惨禍は無かった。

幸福の木の開花が真に縁起が良いのか、禍々しいのか。珍しいことが起これば縁起が良いのか、悪いのか。くじた類はめったに当たらない私の場合、スーパーの抽選で1等お醤油、2等調味料、3等駄菓子で3等が当たってもハッピー。ささやか過ぎるかも。ラッキーなことがあると、「これで一生の幸運を使い切ってしまった、あとは我慢」との考えもありますね。凡人はクジ運などに頼らず地道に生きるしかありません。

ところで、どのくらい祥事があれば、人は幸福を感じられるでしょうか。10のうち1つ満たされれば幸せと感じられる人もあれば、10のすべてでないと不幸な人もあります。不安も同じ。深刻度にもよりますが、10のうち10すべてが満たされないと不幸、不安な方にとって、人生はなかなか満たされることがありません。通常、願いが何でもかなうのは5歳くらいまで。ドラえもんがいても小学生くらいまでかな。飽くことなき不安、不満は本人のみならず、家族や周囲の友人までも不安に陥れ、意欲を失わせ、廻り回って不安の主をさらに不安にします。逆に、楽しさ、生き生き感をまき散らす前向きな人は、周囲もハッピーにし、意欲を増し、活動的にします。こんな奥さんがいると、夫の業績が上がり、“あげまん”とか呼ばれる訳です。この時代、逆もありますね。

さて、ハッピーさんに育てる考察。発達過程で十分満足できなかったり、安心できない状態が続くと、満足感、安心感回路が形成されず、良いことがいくらあっても満たされなくなります。砂が水をいくらでも吸い込むようなもので、溜りません。しっかり褒めて、達成感が得られる機会を提供することが、特に就学前は大切と思います。甘やかすわけではありません。音楽家にでもするなら早期訓練が必要ですが、押しつけはどうでしょうか。天才モーツアルトは3歳で姉の使うクラビコードに触れ、4歳で自ら学びたいと音楽家の父に頼み込んだようで、自ら求めての鍛錬です。興味を持つきっかけや選択肢の提供は必要かもしれません。いったんのめりこんで熟達すれば、達成感もいっぱい得られ、充実した人生に続きます。満開となった幸福の木は幸福を感じているでしょうか。